黒い瞳が邪魔をする 13
category: 黒い瞳が邪魔をする(連載中) > 第一幕 《偶然の再会》

Changmin

新しいバイトは 性に合っていた
料理人が 真剣に料理を作ったり
新しいメニューを試作していたり
見ているだけでも 楽しかったし 新鮮だった
アルバイトの大学生は 僕を含めて2人だけだから
色々と 雑用も多かったけど
何よりも ここで働く人たちは
僕らには 優しかった
僕よりも 2つほど年下のミノ君は
去年から ここで働いているらしく
年上の新入りに 丁寧に教えてくれた
ミノ君となら 上手くやっていけそうだ
”ここは まかないが 超美味いんですよ
他のバイトなんて 考えられないっすよ!”
ミノ君は 食べることと飲むことが大好きで
大学では バスケのサークルに所属し
趣味はカラオケなんだとか・・・
僕は あまり自分のことは話さなかったけれど
”チャンミンさん” と 慕ってくれる
「”チャンミン” でいいよ」
そう何度も言ったのに
”でも 年上だし・・・” と言って譲らないミノ君が
可愛かった
仕事は ユノヒョンのことを考える暇もないくらい
忙しくて 慌ただしくて
でも そんな時間が 僕にはとても
有り難かったんだ
その日も ランチタイムは とても混んでいて
厨房は 大忙し
僕らは 大きな銀色の器に入っている料理が
少なくなってきたら 器ごと厨房へ持って帰り
料理を補充して また 所定の場所に持っていったりする
大きな器は それなりに熱いし重いから
移動には 結構神経を使った
忙しいランチタイムが終わると
料理を少し残して 僕らは交代で休憩に入る
やっと お昼ご飯にありつけるというわけだ
これから夜にかけては
人は かなりまばらになる
仕事でお昼を食べそこなった人や
ちょっとした 打ち合わせ
息抜きのコーヒーブレイクなどで
ちらほらと 人が いる状態になる
僕は 先にミノ君を休ませて
片付けをし始めた
殆ど残っていない料理の器を
片付けようとして その周りを布巾で拭いたりして
下を向いていたから わからなかったのかもしれない・・・
厨房に 器を持って帰るため
近くに置いてあった 銀色の大きな蓋を手に持ち
かぶせようとして 顔を上げた時
目の前を 人が通り過ぎた
『ちぇっ 残ってないな・・・』
何気なく顔を 上げた僕の目に
飛び込んできたのは
えっ?
まさか・・・?
すぐ近くで 殆ど空になっている器を覗き込んでいる
すらーっとした人
急に ドキドキし始める・・・
その横顔は
紛れもなく・・・
僕の記憶に 間違いがなければ
いいや あるはずない
すぐそこに立つのは
今も愛してやまない
ユノヒョンの姿
僕は 動けなくて その場に立ちつくした
心臓が 跳ねだす
あ・・・ 苦しい
バクバクと 音を立てる心臓が
僕を更に 焦らせる・・・
どうしよう
一瞬で 頭は真っ白
あんなに 会いたかったのに
固まったまま 動けなくて
隠れなきゃ・・・
厨房へ 戻らなきゃ・・・
ユノヒョンが 僕に気づく前に 戻らなきゃ・・・
だってまだ 心の準備ができてない・・・
動こうとしたとき
また 良く知っている声が 聞こえる
『なんだ 何もないじゃん!
パスタか何か ありませんか?』
あ・・・
あ・・・
振り向いた人
僕を 見るその人は
すぐさま 目を見開いた
僕は 咄嗟に目を逸らし
厨房の方へ 歩き出そうとして
手に持った銀色の大きな蓋を
落としてしまった・・・
ガシャーン!
大きな音が 食堂に響き渡る
途端に厨房から 2人 人が出て来て
大きな声で 叫ぶ
”おいっ! シム どうした?”
”何やってるんだ?”
「あ・・・す・・・すみません」
”気を付けろって 言っただろ?
まあ 慣れないから仕方ないけど”
料理長のイトゥクさんは
目の前に唖然として立つユノヒョンに声をかけた
”すみませんでした
ズボンに料理が 飛び散ったりしませんでしたか?
ほら お前も謝れ!”
その間に もう一人の料理人のカンインさんが
落ちた蓋を拾う
「す・・・すみません」
顔なんて 上げられないよ・・・
こんな形で 再会するなんて
こんな どんくさいとこ見られて
フラれたのに もっと嫌われるよ・・・
頭を下げた僕に
『大丈夫? 怪我 してない?』
別れた時と 何ら変わりない
優しい声が 耳に届く・・・
僕は どうしても
顔が上げられずに
「すみませんでした!」
そう言うと
そのまま 厨房に走りだした
”おい 待てよ”
イトゥクさんの 声が 遠く聞こえた
東方神起完全体まで
あと613日!
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