赤い華 24

もう 2時か・・・


一人で寝るには　大き過ぎる　


キングサイズのベッドに　腰をかけ


サイドテーブルに置いたワインを


少しづつ飲みながら　


あの時のことを　思い返していた・・・








”君たち　毎週来てるね！”


”練習生志望？”


何度も　顔を出すうちに


話しかけてくれる人もいて


なんとなく　顔見知りになったのは


ドンヘさんと　ヒチョルさんていう人だったな・・・


あの人たちは


今　どうしているんだろう？





”君　スカウトされたんでしょ？”


”それだけ　可愛い顔していたら　わかるよ”


”一緒に　練習できる日を　待ってるよ”


あんなことがなければ　


ドンヘさんたちとも


もっと　関わっていたのかもしれない・・・


あの一件以来


芸能関係のニュースは　一切見ないし


韓国を出たから


韓国の芸能事情などは


一切　入ってこなかった





あのときの練習生で　


今　芸能界で　活躍できている人は　


一体何人くらいいるんだろう・・・？





発声練習に　参加させてもらったり


事務所を　見学させてもらったり


毎週見に来る10人には


事務所の人も　好意的だった


そして　


俺を含めて　3人だけが


後から　親に連絡が入り


本格的に　練習生として　


レッスンを　受けてみないかと


誘われたけれど


友達は　入っていなくて


気まずくなったら　どうしよう？とか


考えていたっけ・・・





父親には　反対されたけど


母親の勧めもあって


俺は　その練習生制度に


参加してみることにしたのは


産まれて初めて　自分の意思で


物事を　決めてみたかったから・・・


大きな事務所だったし


歌は　好きだったから・・・


父親には　


学校の成績を　落とさないことと


半年やって　何の変化もなかったら


即　辞めること！


その条件さえ　守れば


やってみてもいいと　言われた


どうせ　続かないと　思っていたと


後で　言われて腹も立ったな・・・





そんないきさつで


俺は　ある事務所の練習生に　なった





ダンスでは　


凄く目立つ人が　いて


いつも遠くから　その人を見ていた


練習生の中でも　際立つダンススキル


年は　少し上かな？


まだ高校生なのに


あんな風に　踊れるんだ・・・って


びっくりしたことも　思い出した


ドンヘさんが


”アイツは　特別　熱いヤツなんだ”って


言ってたけど・・・


若いのに　力強く美しいダンスを　


魅せてくれた人・・・


名前も　聞かないままだったけれど・・・





あ・・・





もしかして・・・





あれが・・・





ユノさん・・・？





そうなのか？





DVDで見た　ユノさんのダンス


指先まで　ピンと


神経が　行きとどいた


美しさが　一緒だ・・・





あのとき　


俺が毎週のように


見ることが楽しみだった人


あれが　ユノさんだったんだ・・・





考えれば考えるほど　合点がいく





美しく　力強い　ダンス・・・





また　心臓が　バクバクして


その　”もしかしたら・・・？”　が


心の中で


”絶対”　に　変わった





過去を封印していたせいで

なかなか気づかなかったんですね・・・

少し　リアルも混ぜ込んでの　昔話です






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